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2014年11月22日に横浜で建設業経営研修「BCC」を開催しました。今回からの新ルール「転職・独立ルール」によって、よりリアルな経営が体験できるゲーム研修になりました。経営者から社員へ給与が出されることになり、自分の待遇などを周りと比較するかもしれません。さて、どうなったのでしょうか。

建設業経営研修「BCC」とは

2014112401BCCとは「Blue Chip Constructor」の略です。「Blue Chip」とはカジノの高額チップを指し、優良企業を表す言葉として使用されます。つまり、「建設業界の優良企業」を意味しています。

ゲーム形式で建設業者の経営を学ぶとともに、他社との下請・元請関係や社内でのホウレンソウを学び、現実での問題点を見つける研修として有効です。

こちらは、建設業界の知識がなくても、最初のルール説明と研修で理解できるようにしております。一社で仕事が完結しづらい建設業界だからこそ、コミュニケーション力を含むさまざまな資質が必要になってくるのはいうまでもありません。

 今回の新ルール

今までは、1社2・3人の構成で4社ほどが協力しあって横浜の街をつくるというものでしたが、今回からガラッと大きな目的を追加しています。変更点は以下のとおりです。

  • 社長役を決め、社員は決意表明を聞いて入社希望を出す
  • 給与を決められ、毎年支払われる
  • 他社が出した求人に応募し転職してもよい
  • 独立が可能で、自己資金に応じて融資を受けることができる
  • 会社同士のM&Aも可能

代表者の決意表明

いかがですか?個性的な社長もいますね。「給与はずむから叱って欲しい」「自分を持ち上げてチヤホヤして欲しい」こういう素直な意見はとっても聞いていて気持ちがいいですね。

ゲーム研修は失敗しても損害はありませんから、思った通りのスタンスでチャレンジしてOKなんです。

そして、社員の方が、この決意表明により入社します。

社名・理念・給与額発表

現実には「最低賃金」というものがありますが、このBCCの世界にはそんなものはありません。ただ、優勝するとささやかな「amazonギフトカード」がプレゼントされるだけ。

最初に各社に渡された資本の額が「130」に対し、給与が「1」から「30」まで幅広く設定されています。でもこれ、一番いい給与の会社が月収30万だったら、少ないところは月収1万円ってことですからね(笑)

そして毎回恒例の自己資金10をプレゼントするクイズタイム!

これ、毎回正解出ないんですけど、良いんです。BCCが甘いもんじゃないって分かっていただくためにはピッタリです。

そしてゲーム開始!まずは1年目!

ルール説明をし、質疑応答後にゲームがスタートします。全員が80%くらいルールを理解した状態ならばOKなのですが、この時点では「分かっているのか、分かっていないのか」はこちらには分かりません(笑)

現実でもそうなのですが、ルールを理解せずに独立すると…、ですよね。

実際の営業では、積極的に社内外でコミュニケーションを取り、本年度の営業計画を立てていきます。今回から登場した「マリンタワー」の入札もここで行われます。

このBCCでは、重機などは施工する部分によって異なり、ユニットの数に応じて対応できるキャパシティが決まってます。

そりゃそうですよね。広大な広さの空港を作ろうとして、地ならしに1台のロードローラーじゃ「いつ終わるんだ?」って話です。そのため、工期内に案件を終わらせるためには、それ相応の数の重機が必要になります。そのルールが理解できないと下のようになります。

そんなこんな、いろいろと苦い1年目を終えると、コストを支払い、社員に給与を支払うわけです。社員にとっては至福の瞬間!経営者にとっては?(笑)

そして、各社年度ごとの出来を見つつ求人を募集します。先ほど、社長がルールを理解していなかった会社の社員が、こっそり求人を見に来ていますね(笑)これも現実にある話ですね。

 実際の施工はどのように行われたか

今回は関係各社連携が上手く言っているように思いましたが「ゼネコン一社と大きな元請一社、その他」という構造になってしまったために、下請の能力によって、一蓮托生というパワーバランスになってしまいました。

「あの会社じゃないと出来ない」というのはとっても危険なことです。これは「あの会社は土木が得意だから安心!」っていうのと全く意味が異なりますからね。前者は、ずっとミスがなければ良いのですが、そうもいかないのが現実です。

工期に間に合わないと、多大なペナルティを支払うことになります。元請が。

今回のケースだと、実際に施工しているのは下請企業。でも、仕事を受けたのは元請けなので、責任は元請けにあります。実際に、これによって二次下請け1社が倒産する結果になっています。こういう重大なイベントはゲーム後のディスカッション(動画あり)で私が突っ込んでいきます。

そして、今まで一手に引き受けた大きな下請企業は、倒産間近な企業をM&Aし、規模を大幅に拡大することに成功しました。

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しかし、事実上の吸収をされた旧馬鹿(うましか)建設メンバーはそれまでに、大きな仕事をしていなかったという点、経営計画や運営は旧SNKのやり方で進められたためにコミュニケーションが取れずに派閥化してしまいます。そして、結果として、たった1年で再独立するということになってしまいます。

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いよいよランドマークに備えるわけですが…。

BCCのメインイベントといえば、やはり「ランドマークタワーの建設」です。実際に「受注ありき」で皆さん考えるのですが、ここまでの経営状況や各社の関係によって、事前に困難かどうかという予測も立ってしまいます。実際の話し合いはこのように行われました。

なぜかゆとりのある1社が生まれていますね。でも、これはダメなことではありません。全員が身の丈経営をしながら、ゆうゆうとランドマークを建設する場合もあります。逆にこんなに切羽詰まって街のシンボルを建設していいのか?という問題提起にもなりますよね。

そして、ランドマークワターは受注できたのですが、大きな問題にぶち当たります。ランドーマークタワーを建設する材料を買う資金がないということです。

これ、資金もなく入札した元請が全て悪いといえるでしょうか?

下請全員は「たった一つある絶対に仕事を取ってくる元請」に依存していました。自分たちは貧乏だけど、社員に給与も出しているし、貧乏だけど社員は文句も言わない。なぜなら、あの元請がいつだって大きな仕事を受注して生活させてくれるから。今回だってランドマークタワーの仕事を取ってきてくれた。それを建設して自分たちの証を残そう。

こんな状況、空気、文化にした全員が原因だと言えるでしょうね。結果、動画にあるように、今まで給与を多くもらっていた社員が独立して、ランドマークの材料を購入するアラワザに出るわけです。

このゲームの結末はどうなった?

では、あらすじを。下請が施工不良した「インターコンチネンタルホテルの補修工事」と「ランドマークタワーの建設」が最後の仕事です。

ランドマークタワーは完成!でも、インターコンチネンタルホテルは2度目の施工不良。これは、現実だったら確実に紙面を賑わす事態になりますね。ほんとゲームでよかったね!(笑)

そして、ランドマークタワーの報酬「900」という額が元請に支払われますが、ひとつの問題が発生します。このランドマークタワーの建設にあたり、材料を買うお金を「独立した新会社」から捻出してもらいました。それらを施工ができる下請に移動した。

このBCCでは材料の売買は禁止しており、必ず材料を施工する「仕事」として発注することになります。そして、建設業許可を持っていない会社に対しては報酬が「60」までという現実に則したルールがあります。ほんとは報酬の「900」を参加した会社7社で分割して「130」くらいずつ分けられたらハッピーだったんですけどね…

結局、総報酬は900もあるのに、材料を買った3社が一次下請けとなったため、それぞれ「60」しか報酬を得られません。実際に施工した二次下請けは、その中から報酬を得るしかないという業界構造の複雑さがよく分かる幕切れとなりました。動画内でも、私がルールを説明するとともに理解して「あっ!」って声が出ていましたね(笑)

ルールはきちんと理解しなければ、簡単に足元をすくわれるということですね。

優勝者とディスカッション

優勝されたみなさま、おめでとうございます!!

優勝者が決まったら、いよいよお楽しみのディスカッションになります。少し長い動画になりますが、多くの方が建設業界とは関係ない参加者でも、とても興味深いご意見がたくさん挙がってきました。

ゲームだからこそ「何が悪いか」を明らかにする

実際の仕事で人のせいにしては相手にされなくなります。でも、このBCCの最後のディスカッションでは、積極的に責任を他人に向けることを推奨しています。

この理由は、人は自分に非があると言われることで「改善点」を見つけられる生き物だからです。例えば、ゲーム中に準備の時間がかかり過ぎて、他の人に迷惑をかけていたと指摘されたのであれば、「だって、仕事が煩雑だったし」というのは言い訳です。

でも、「いや、元請が本来すべき指示がザックリしすぎていたから」とか「自分が社内でもっと仕事を効率化していたら」というような意見があってこそ、より良くなります。

「楽しかった」「勉強になった」「いい仲間が出来た」「明日からなんちゃら」「来年からどうたら」っていうのは、どうでもいいことです。

研修を受けて、「自分が改善できるか」「他人に改善のチャンスを与えられるか」ということを引き出せる研修運営をこれからも続けていこうと考えています。

そして、藤田さんのスペシャルレポート

こちらのブログで主催の藤田さんが建設業専門の行政書士の視点でレポートを書かれています。藤田さんの業界愛を感じながらこちらもご覧ください。


2014/11/24

建設会社経営研修【コンスタ】研修レポート