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2015年3月15日に奈良で建設業経営研修「BCC」を開催しました。建物も奈良バージョンになり、目指すは奈良県庁の建設。関西・中部で活躍する次代の士業のみなさんにBCC、そして建設業はどう映ったのか?

建設業経営研修「BCC」とは

2014112401BCCとは「Blue Chip Constructor」の略です。「Blue Chip」とはカジノの高額チップを指し、優良企業を表す言葉として使用されます。つまり、「建設業界の優良企業」を意味しています。

ゲーム形式で建設業者の経営を学ぶとともに、他社との下請・元請関係や社内でのホウレンソウを学び、現実での問題点を見つける研修として有効です。

こちらは、建設業界の知識がなくても、最初のルール説明と研修で理解できるようにしております。一社で仕事が完結しづらい建設業界だからこそ、コミュニケーション力を含むさまざまな資質が必要になってくるのはいうまでもありません。

なぜ、奈良で開催したのか?

今回、私たちを呼んでくださったのは行政書士西口労務パートナーズ所長の西口さんです。西口さんは若くして建設業に特化する行政書士として奈良県を中心に活動されています。東京や大阪にも精力的に情報収集しに来られています。自分のスキルアップと中小企業に良くなって欲しいという志高い方です。

もう一人の講師である行政書士の藤田さんとお知り合いで、そのご縁から奈良での開催が決定しています。

奈良バージョンの建物

これまでは横浜での自主開催ということもあり、建物は横浜ゆかりのものでした。しかし、場所は奈良。ビジネスゲームクリエイターとしての血が騒ぐというものです。

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なんと奈良公園と東大寺がドッキングするというBCC初の試み!ま、作れればの話ですけど(笑)作って欲しいなぁ。これ似せるの結構大変なんですよ!

サプライズ講義に涙

開始して、主催者のお言葉があってすぐにスタートかな?と思っていたのですが、なんと西口さんがミニセミナーを考えてきてくださっていました。士業界の知識習得に関する問題点や実践主義でいながら、積極的に横のつながりを強めていく必要性についてお話されました。そして、私たちにお声がけいただいた理由や経緯など。

こういうのは本当に初めてだったので、涙が出るほど嬉しかったです。本気の主催者とやる体験型研修って身震いするほど力が湧いてきます。そして、この瞬間、私も西口さんの熱意に呼応するようにスイッチが入りました。そうです「いつもより面白い林」の登場です。

 社長やりたい人!

ルール説明が終了し、いよいよチーム決めです。今回奈良開催にして、奈良県の方は2名。その他、大阪や兵庫、名古屋からお越しいただきました。そのためみなさんモチベーションが高いはずだと勝手に決めつけ、経営者は立候補制としました。

そして特別ルール「奈良町都市景観形成向上プロジェクト」

今回の特別ルールは「奈良町都市景観形成向上プロジェクト」です。

実際に奈良県にある伝統的な町並みの景観を維持するための「奈良町都市景観形成地区の景観形成基準・修景基準・修理基準」を参考に、観光地のひとつである「ならまち」に勢いをもたらせることを目的とする架空のプロジェクトに任意で参加できるようにしました。

奈良を愛する者ならば、参加するに決まっているイベントだと言っても過言ではありません。しかし、目を閉じた状態で挙手制による参加を募ったところ、希望はたったの一社。しかも他県の行政書士の先生でした(笑)

 そして体験パートがスタート!

1年目は静かな動き出しから、さっそく各社の色が出てきます。ゼネコンを目指す会社はすぐに入札が参加できる資格を取得。下請の道を模索する会社、たった一社で「ならまちプロジェクト」を成功させなければならない会社。

様々な特色はありますが、メインリソースが当然ながら「人」であり、5社10名で構成される建設業界の文化を作るのは人間です。腹を探りあったり、懐疑的に人を見たり、あるいは他を蹴落としても勝ちたいと思えば、それがコミュニティの文化になってしまいます。

インタービューを見てみると、「ルールが難しい」「交渉がカギ」という声を聞くことが出来ます。

ルールを理解し腑に落ちれば、ビジネスが上手くいく権利を持ちます。そしてコミュニケーション力を磨くことによって、成功率がアップするイメージだと私は考えています。その上でこの意見は正しい。でも、建設業においては前提として大切なことがあるのをこの時誰も気付いていませんでした。

それはとても初歩的なこと

建設業において、最も大切なことは意思決定でも経営戦略を考えることでもありません。信頼できる仲間を見つけることや交渉で勝つことでもありません。

工期内に確実に建物を建てること

これ以上大切なものはありません。私たちは建設会社の方がつくるものをアテにして生きています。「安全に生活する」「早く目的地に着く」「キラキラした景色を楽しむ」すべては建設会社が人々の期待に応えた結果だといえるでしょう。

決して建てられて当然なのではなく、技術も誇りも常に高くなければならないのはいうまでもありません。

BCCでは、建設は単なるブロックなのかもしれません。でも、それに四苦八苦している現状を今回体感し、現実社会で何かを建設する大変さと凄さが理解できたのではないかと思います。

ハプニングから見るチームの問題点

今回の研修でよく見られた光景が2つあります。

それは「皮算用」と「ずさんな時間管理」です。

取らぬ入札案件の皮算用

入札案件は100%受注できるものではなく、スキル不足な場合「運」が必要になります。しかし、希望的観測から関係各社取れたものとして、雇用を調製し結果として入札を失敗するケースがありました。これはなぜ起こったのか?

単純に雇用の調整をもう少し多くの会社で行い、万が一入札を失敗した時に協力することでリスクヘッジできる体制にすれば解決するでしょう。

その上で、速やか入札を行い、ダメだった時にどうするか考える時間を確保することも大切ですね。

5分しかない建設時間

4年間を約2時間で体験するBCCですが、建設に使った時間は「5分+5分+5分+12分=27分」です。それ以外を何に使っていたかというと「意思決定」と「交渉」です。このバランスを考え、せめて50%は建設に使えると成果が安定したはずです。やっていることはコンサルではなく建設業ですからね。

果たして奈良県庁は完成したのか?

今回は横浜開催ではベーシックとなっているランドマーク建造物の完成が勝利の前提となっています。ターゲットは「奈良県庁」です。鹿の角を模した上部と「ロの字」に囲われており、中央に中庭がある珍しい形状です。

完成できねば全員敗者。さて結果やいかに。

そして振り返り

ビデオで撮りきれませんでしたが、皆さまから反省点や、他の会社への要求。自責など様々なご意見をいただきました。また、今回の研修を経て、ご自身のサービスにどう活かせるか?気楽なおしゃべりも含め、有意義な議論ができたのではないかと考えております。

その中で出たご意見で二つほどピックアップしたいと思います。

奈良県を愛し、奈良の建設会社のために活動しているのに、ゲーム中「ならまちプロジェクト」への参加に踏み切れなかった。自分の薄汚れた部分が見えた。(西口さん)

一度、仕事として受けたのに、その会社が危ういかもしれないと判断し「やはりこの仕事、降ります」とビジネスではあり得ない裏切りをしてしまった。

BCCに限らず他の体験型研修でもこういうことは多々あります。私の持論として「ゲームで裏切る奴は現実でも裏切る」というのがありますが、このお二人は該当しません。

なぜなら、自分の行動を「失敗」と捉えているからです。失敗ならば次に活かすことができます。どうしようもないのは「ゲームで不義理をしたことを何とも思っていない人間」なのでしょう。

お話になられた失敗を自覚されているなら直せます。そして、こういった素の自分が出てしまう体験を重ねてドンドン失敗してください。できるだけお早めに。

今回のまとめ

今回も前回のダイナミズム同様に「気付いたことを書こうシート」を実施しました。これは、以下の点に関しての気付きなどを年ごとに振り替えられるような表になっています。

  • 自社の悩み発見
  • 取引先の関係性気付き
  • 業界全体の状況気付き

「コミュニケーションが取れていない」「経営が危険な会社がある」「自社が苦しい」こういった様々なことが書かれていました。でも、それらを発信する声はありませんでした。みなさんがみなさん何とかして自社内で完結しようと考えたのかもしれません。その考えはとても気高く素晴らしいものです。

逆説的に言えば、もっと積極的に協力しあわないと県庁建設が危ういと2年目に言い出せなかった何か、つまり「空気」があったのだと思います。改善案や希望、懸念が言えないのは個性ではなく空気なのです。

痛みを知った者の行動

「ならまちプロジェクト」をほぼ一社で完結したGネット建設は、一年目に協力してくれる会社を探し、声をかけましたが誰も協力してくれませんでした。そして遅延金を払い1年遅れで自力で成功させました。協力されない痛みを感じたはずです。

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そして、4年目にはどこよりも資金力がある会社に再生し、県庁建設のために資金を惜しみなく提供しました。

勝利条件に関係ないスタジアムの建設

4年目に一社だけ県庁建設に参加せず「佐藤製薬スタジアム」を建設したTW装建の気持ちとして県庁案件に携われなかった疎外感があったはずです。

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しかし、スタジアムという子供が夢を見る場所を創った事実に何も変わりはありません。

元請に振り回されつつ支えた下請

下請の道を選んだ奈良西口建設は下請ながら経営が全く安定しませんでした。100%元請のリクエストに応えるため、雇用とリストラを繰り返していたからです。また継続的に仕事が無い状況もありとても辛い経営が続きました。

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しかし、県庁を建設するためには、グループに一社しかいない元請に倒れられる訳にはいかないという下請の責任感に満ちていました。

安定を捨て、不安定な協力を選んだ

2年目の段階で協力しなければ県庁が建たないことは薄々気づきながら、安定した小規模な元請仕事をコツコツ取り組んだすまいのカーサ

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しかし、4年目に居ても立ってもいられず、協力をすることに。このままいけば、県庁は建たずともお金で苦労することはないと分かっていながら業界のため、ひと肌脱ぐことに。

歓喜と失望の間に押し込められた元請

大野組はグループにたった一社のゼネコンです。仕事を取って下請に依頼する。しかし、初年度に下請からの協力が得られずに財政は困窮していました。

にも関わらず、「腹黒い」「仕事を取ってこない」などと言われ、たまに受注すると手のひらを返したように喜んでもらえる。

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下請がいる限り、大きな案件を取るしかない状況はとてもストレスだったことでしょう。

なんか、皆ほんとはもっと言いたいことがあったんじゃないの?

外から傍観していた私の目、気付いたことシートの記述。建設計画を記す書類。毎年撮影した写真を見る限り、このようなことを皆さん思っていたんだろうなと想像できました。

ならば、もっと言えばよかったのに。でも、私のような外からの視点こそがコンサルタント・専門家としての視点であり、参加者の皆さまのお仕事だと考えています。

私たち士業・コンサルタントは経営者に対して客観的に話す必要があります。でもそれは気持ちを汲まないという意味ではなく、苦しみや悩みを知った上で共感するのではなく「良くなっていただく」ために何が良くて何が悪いかをお話ししなければなりません。

私は今回のBCCでこれを学びました。今までのBCCでは気付かなかった点です。次回のBCCではまた場所もメンバーも変わり、展開が全く変わってきます。アグレッシブな人ばかりでもダメ。牧歌的でもダメ。つまりはバランスだということですね。

こうした体験型研修によって、私も毎回さまざまな気付きをいただけてとても幸せです。今回ご参加のみなさま、主催の西口さん、本当にありがとうございました!

そして、藤田さんのスペシャルレポート

こちらのブログで講師の藤田さんが建設業専門の行政書士の視点でレポートを書かれています。藤田さんの業界愛を感じながらこちらもご覧ください。

メディアでの皆さんの発信

ブログ

▶ 主催の西口 孝平先生:【感謝】BCC研修IN奈良を開催しました!!

▶ 寺嶋 紫乃先生:BCC 〜建設業の奥深さを学ぶ〜

▶ 大野 裕次郎先生:建設業の経営を知る!

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2015/03/16

建設会社経営研修【コンスタ】研修レポート