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午前中の「会社とは」の講義とダイナミズムのルール説明を受けた子どもたち。今からやるのは子供だましの遊びではなく、今まで体験したことがない「ちょっと背伸びなゲーム」だと分かった様子です。ドキドキと不安が伝わります。まさに起業前夜という言葉がぴったりです。

午前中の講義風景はこちら

自分の業種と社名を決めよう!

まずは、全員に目を瞑っていただき、業種を決めます。珍しく1発でバランスよく全員の希望通りの業種になりました。

次に自社の社名と理念を決めていただきます。

出場する経営者のご紹介!

製造業:3社

  • たけい製造
  • やました製造
  • マックス製造

飲食業:2社

  • サーティ・ドーナツ
  • ミスター・ワン

小売業:4社

  • 小売業S
  • 小売業セブン
  • 小売業Z
  • 後藤イレブン

レジャー・サービス業:2社

  • うさぎレジャー
  • ワクワク会社

農業・畜産業:3社

  • にわとり農業
  • 健康野菜農場
  • 紅(ベニ)農場

ドキドキの社名発表!

はい。社名を見ると、友達同士で同業をやっていることが一目瞭然ですね!(笑)その後、全員の前で「業種」「社名」そして「どんな会社にしたいか」を発表します。

そして、いよいよダイナミズムスタートです!

1年目:「自分が動かないとはじまらない」

初年度は「運営」も指導員「親切おじさん」も気を遣います。「仕入・生産」や「販売」のフェイズで出来ることを連呼して習慣にしてもらうためです。それぞれの会社たちはまだ何をしていいのか手探り状態。他の会社と協力すべきなのは頭で分かっているのに、どうすればいいのかが分かりません。

そんな中でも農業に野菜や肉を仕入に行く飲食業の子。初めての交渉にいくらつけていいかも分かりません。どっちも損をしない取引をするためにどうしたらいいんだろう?

お互いが幸せになる道は?小学生のこの年代のお子さんがそんな体験をしているのを運営側は目の当たりにしていました。

1年目が終了して決算処理を完了すると約7割の子がスタートアップ資金の200ゴールドを下回っています。これは街として機能していないことを意味し、子どもダイナミズムの場合ではよくあることです。

子どもたちの特技「吸収力」をここから見せてくれるでしょう。

2年目「情報共有」

1年目に最も上手くいった会社は「うさぎレジャー」と「ワクワク会社」、共にレジャー・サービス業です。レジャー・サービス業はいろいろな業種から商品を書い、それを組み合わせることで「付加価値商品」を作る特徴があります。

この成功体験をお友達に教えることにより、街の活性化が起こります。つまり「情報の共有」です。1年目はずっと椅子に座っていた子どもたちも、まずは街へ出てブラブラしてみたり、他の子がどうやっているかを見学しています。

徐々に子どもたちの間での取引が一般的になると、街全体の売上が上昇し始めます。前年度に赤字だった会社も200ゴールドまで回復してきたようです。

一部の懸念点は、「飲食業2社」に対しての「農業3社」というバランス。農業が提示する値段しだいでは、農業が育たない可能性があります。そして逆のパターンになると、街全体に深刻な影響をおよぼす可能性が。

私は「親切おじさん」の何人かに飲食業をフォローするよう伝えました。なぜ、弱い立場の農業ではなく、飲食業をフォローするかというと、現状で供給過多になっていますので、まずは飲食業2社で3社の供給を全部受け止める販売能力を付ける必要があるためです。

結果的にこの取り組みが生き始めるのは4年目のことですが、早めに対策しても文化として根付き成果が出るまでにある程度の時間が必要なのは現実でも同じですね。

3年目「周りが見えてくる頃」

独立3年目になると徐々に自分の役割や、自分がしたいことが見えてきます。そして、自己資金の多少に関わらず「身の丈経営」が考えられるようになってきます。

自分の実力、もしくは少し頑張ればできることまで成長することで、現実に振り回されない「心の余裕」が生まれます。この状態になると出てくるもの

それが、自分の意志と言葉です。

4年目「ブーム到来」

もう完全にルールを把握した子どもたち。こうなると街では今までの鬱憤を晴らすような大きな大きな「うねり」が発生します。それが「ブーム」です。

どうすると「相手が嬉しいか」「自分が困るか」ということが明確な数字でフィードバックされる世界に慣れてきたようです。

また、主に小学校4年生で構成されていた小売業は、高学年の子どもと相対することが難しいと判断したようで、全員が協力して一つの企業のような役割になっています。これも一つの戦術だといえるでしょう。

生産力もあり、隣接して活動している飲食業は「頼めば商品を卸してくれる」というブランドが浸透し「今一番取引したい会社」になっています。

また、それに伴い街全体の経済力が底上げ、どの企業もほぼ同時に規模を拡大しようとする雇用ブームが到来します。

いかがでしょうか。とても街が活発になっているのが分かりますね。そして、この段階で最大の規模(3人雇用)になっている会社もではじめており、5年目が楽しみな状況です。

5年目「最後の決算」

ずっと現金出納帳がなかなか合わなかった4年生のお子様も、この頃にはバッチリ合うようになってきました。これは習慣もありますが、合わないと自分の会社にいくらあるかすぐに分からず「困る」からです。

ダイナミズムは単なる金儲けのシミュレーションではありません。起業に大事なエッセンス、つまりは経営だけではなく「生きる」上で大事な要素を学ぶことができるのです。

ダイナミズムの5年目にバタバタするケースはあまりありません。ゲーム上における「最後の一年」を噛みしめるように子どもたちも他のプレイヤーと取引をします。

友達同士で来たのに、気付けば名前は知らないけど社名は知っている同年代の子どもの行動に信頼を置く自分は、今までにない感覚だと思います。

販売フェイスが終了し、決算へ移ります。言葉も初めて聞いたのに、今では何を持ってどこに来ればいいのか理解しています。その意味も。

そして、会社がすべき役割をすべて果たし、ダイナミズムが終了します。

ゲーム終了。最初は「親切おじさん大賞」

ダイナミズム中に子どもたちが困ったことの解消やしたいことを実現するためにご協力いただいた指導員の皆さまの中から子どもたちが選ぶ「ベスト親切おじさん」を決めます。

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親切おじさんのご紹介

左から

  • ジョニー:円城寺 正経(甲斐市商工会職員)
  • リョーちゃん:佐藤良基(司法書士事務所登記のミカタ)
  • ミッチー:三井倫実(三井社会保険労務士事務所)
  • カズくん:岩間一幸(㈲岩間電気工業)

三井さんおめでとうございます。

三井さんはなぜ、「自分が選ばれたか分からない」と仰っていました。確かに、前日の大人向けダイナミズムではいい働きとは言えませんでした。そして、この親切おじさん制度でも序盤はひときわ大きな身長182センチの大男がフットワーク軽く近づいて来て分かるまで教える姿に、好印象を持っていない子どもも確かに居ました。

しかし、ゲームが進むにつれて「このゲームで一番大切なことは疑問を残さないこと」というスタンスで完全に理解してもらう姿勢を一貫されています。

子どもたちも、何となく上手くいくより、理解した上で成功する方が「楽しい」ということが伝わったのでしょう。最終的には7票という過半数を獲得しての親切おじさん大賞となりました。

そしていよいよ優勝者決定

親切なおじさんが決定し、いよいよダイナミズムの優勝者を決定することになります。運営不介入の優勝者決定方法ですので、既に優勝ラインに立てないことを分かっている子どもたちもいます。しかし、優勝者に選ばれることで引き上げてもらう道もあることから全員に優勝のチャンスが有ります。

本当にすごい接戦です。惜しくも負けてしまった「ワクワク会社」の社長は講義の時から積極的に発言し、誰よりもこのダイナミズムの構造を理解していました。

相手に対して恩を着せることも無く、さらっと気遣いができる、小学校5年生の児童会長の男の子です。将来は公務員を目指しています。

優勝した4社については勝因は多様で「物怖じせずに取引をチャレンジした」「誰かを裏で支えた」「仲間で団結し、自分の勝利はみんなの勝利とイコール」のように勝つ方法も勝ちの意味もさまざまです。

そして、光を当てるべきは勝った人だけではありません。

あるお子さんは、ダイナミズムの中に1人しか友だちがいませんでした。少し遠方から来ていたからです。最初は会場の雰囲気に慣れていない状況でしたが、最後の方には「人を雇うにはどうしたらいいですか?」と積極的になっていて、スタッフの中でも話題になりました。

「なんで誰も自分から買ってくれないんだろう」とつぶやく大勢の友達と一緒に来たお子さんの姿もありました。

でも、ダイナミズムはゲーム

ゲームなので、「ルール」があり「勝者」が決まります。もう少し大人になれば、こんなことの連続ですね。優勝した以下の会社のみなさんおめでとうございます!

  • 製造業:マックス製造
  • 飲食業:ミスター・ワン
  • 小売業:後藤イレブン
  • レジャー業:うさぎレジャー

結果に対する林の感想

優勝者と、優勝者が選んだお子さんがプライベートで顔なじみではありません。このゲームで知り合い、取引をし、たった数時間で築いた信頼関係があります。

友達が周りにたくさん居て、自分が選んだもう一人が優勝者になるなら、友達を選んでも良さそうですよね?ましてや小学生なら。

でも、そんなつまらない結末は選びませんでした。つまり、子どもたちの中で、ダイナミズムが「文化ある架空の街」だと認識されていたことになります。

この結果から、今回のダイナミズムは運営側にも学びある良い会になりました。

参加した子どもたちの感想

おわりに

このレポートを執筆し、私の本年度の甲斐市チビッコダイナミズムが終了します。開催した子どもたちがもう一度ご覧になって、楽しかった出来事の振り返りとして、ひとりでも多くの子どもが働くことの大切さを知ってただけたら幸いです。

本当に夏休みの遊びたい最中、私の研修に参加してくださった皆さまには感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました。

今後は中学生、高校生と開催する対象を広げていき、それぞれ置かれた環境にマッチした研修づくりをしてまいりたいと思います。

そして、最後になりますが、今回の開催にあたってご尽力頂きました、甲斐市商工会青年部の皆さま、甲斐市商工会の皆さま、スタッフの皆さまには深く感謝しております。

誠にありがとうございました。

スペシャルサンクス

経営者のみなさん

山梨県内在住の小学4年生~6年生

メインオブザーバー

河野 行秀さま(事務局次長)

出納帳の書き方講座 講師

秋山 順二さま(経営支援課・副主査)

親切おじさん

  • 岩間 一幸さま(岩間電気工業)
  • 円城寺 正経さま(甲斐市商工会職員)
  • 三井 倫実さま(三井社会保険労務士事務所)
  • 佐藤 良基さま(司法書士事務所登記のミカタ)

甲斐市商工会青年部のみなさん

  • 武藤 武さま(美園造園土木)
  • 仲村 清洋さま(塩部自動車)
  • 雨宮 和仁さま(雨宮登記測量)
  • 祢津 透さま(祢津畳店)

市場主任担当

松崎 直己さま(日本人事労務パートナーズ)


2014/08/06

いい会社づくり体験ゲーム【ダイナミズム】研修レポート